スケールアップ
最近、会社でスケールアップ実験を行いました。(割と古典的な反応です。)
これまで原料を1mol使用していたところを7molにしました。
原料、反応剤などを合わせて4キログラム程度となります。
このスケールで実験するのは初めてだったのでテンションがちょっと上がりました。
本とかでスケールアップについて勉強している最中ですが、
実際にやってみると「これがまさに本に書かれていたことか。」と思うことがありましたので書いていきます。
行った実験は
仕込み、フラッシュ蒸留、水洗、精密蒸留
です。
当たり前ですが、全工程を通して時間がかかりました笑。
スケールアップした倍率ほどではないものの、
それなりに時間がかかるので余裕を持って実験の計画を立てた方が良さそうです。
次に各工程での気づきを書きます。
・仕込み
反応熱により内温が上昇しがちでした。オイルバスで加熱した状態で試薬を滴下したのですが、内温が規定の温度を超えそうになったため、バスを外しました。
それでもしばらくは内温が下がらない状態でした。
これは、体積が大きくなる割に表面積は大きくならないことに起因していると思われます。
内温を上げ下げするのに時間がかかりますね。また、一旦反応が暴走するとかなり危険なようです。
・フラッシュ蒸留
十分なスピードで目的物を留出させるために、小スケールの時より減圧度を下げる必要がありました。
減圧、エアレーション蒸留でしたが、圧力を測定するのが真空ポンプ手前なので、
釜の方の圧力は実際には高めになってそうな感触です。容器が大きくなって
それがより顕著になったのでしょうか。
受けナスの大きさを小さなものに交換すると、同じ圧力、温度でも
流出速度が速くなったので、そんな気がしています。
・水洗
有機層と水層の分離が良い系であったため、特に問題なし。
エマルションが生成しなくて良かったです。
分液ロートを振るのは一苦労。メカニカルスターラーでの攪拌が楽、安全かつベンチ、パイロットスケールを再現できます(が、めんどくさくてやりませんでした汗笑)
・精密蒸留
フラッシュ蒸留と同様。また、蒸留中盤から後半でフラッディング?したかもしれませんが、すでに主留に切り替わっており、高沸物も大してなかったためか、
特に純度が下がるということもなかったです。
外気の漏れ込みが改善された拍子に(?)減圧度が下がって、起こった気がするので
今後気を付けたいです。
以上です。
蒸留の経験がまだ多くないので、間違っていることもあるかもしれません。
蒸留は工業的にとても使われている技術なので、
より経験を積んで詳しくなりたいですね。